オーダーメイド枕を作る過程を調査してみた
イオンモール札幌発寒にある「マイまくらベッド」は、オーダーメイド枕"マイ枕"が人気の眠りの専門店。「眠りの専門店?枕の専門店じゃないの?」と思う方もいるかもしれないが、ホームページには確かにそう書いてあった。
枕は眠りの質に影響するとよく耳にするが、筆者は寝具へのこだわりはほとんどなく、自分の枕が身体に合っているのかどうかさえもわからない。しかし今回、お店に直接伺いマイ枕を作る過程を取材させていただいたことを機に、寝具に対する意識が大きく変わったので、この記事が読者の皆さんの寝具を見直すきっかけとなれば嬉しい。
枕の他に、マットレスやベッドなど各種寝具を取り揃える。マグマパワーは相当暖かい気がする。
マイ枕を求めるお客様は40代~60代が特に多いようだが、最近は20代や中高生など若い世代も増えているという。中高生のお客様については、通学時の荷物の多さによる肩こりや睡眠時の悩みを理由に、親御さんと一緒に相談に来られるケースが多いのだとか。
一口に枕と言っても種類がたくさん。右側の色付きの枕がオーダーメイドのマイ枕。
---マイ枕はどのような流れで作っていただけるのでしょうか。
店長「カウンセリングから始まり、寝姿勢を測定してから枕を製作していきます。出来上がった枕はご自宅に持って帰っていただき、実際に寝てみてもし違和感などがあればメンテナンスを承ります。」
マイ枕は最短30分程度で出来上がるそうで、即日受け取ることが可能。季節や体型の変化によって寝心地が変わることがあっても、メンテナンスは何度でも無料で受け付けているという。
---実際にマイ枕を使っているお客様からはどのような声がありますか?
店長「寝姿勢が楽になったことで、前よりも深く眠れるようになったというお声はよくいただきます。私自身、枕を売っているというより、"眠り"を売っている感覚ですね。息のしやすさだけでなく、いびき・歯ぎしりなど睡眠に関するお悩みも考慮してひとりひとりに合った枕をご提案しています。」
お客様に"眠り"を売っているという店長。睡眠について語るときの熱量がすごい。
店内には「お客様の声」の掲示板。マイ枕愛用者からの喜びの声が詰まっている。
今回、実際にマイ枕を製作する際に使用する測定機を体験させていただけることに。
128個のセンサーで寝姿勢を測定し、結果を基に自分の体型に合った枕をご提案いただけるようだ。
これだけのセンサーで身体のバランスがわかるらしい。ベルトみがある。
寝姿勢を測定中。目は閉じているが、眠っているわけではない。
各センサーを使用することで頭からつま先まで体の部位ごとにかかる圧力を計測できるので、自分に合った硬さのマットレスもご提案する事も可能だという。
---一般的にダブルベッドを使っているご夫婦の場合、マットレスはどちらかの体型に合わせなければいけませんよね?
店長「その場合、当店ではお2人を測定して平均を取る方法もありますし、奥さんが柔らかめ、ご主人が硬めというように硬さが変えられるようなマットもご用意しております。でも基本的に寝室は1人1部屋がベストです。」
---夫婦で完全に部屋を分けて寝た方が睡眠の質は上がるんですか?
店長「全員が全員というわけではないですが、夫婦に限らず、血が繋がっている家族だとしても人間って隣に人が寝ると不快なんですよ。夫婦は別々に寝た方がお互い新鮮さが続くらしいですよ。
---・・・店長のお宅ではどうされているんですか?
店長「寝室は分けています、もちろんベッドも別です。」
---・・・寂しくないんですか?
店長「いや、まぁ・・・眠りのためなんで・・・」
我々の答えづらい質問にも真摯にお答えいただいた店長。
オーダーメイド枕の取材に来たのに、夫婦の寝室事情まで知ることになるとは・・・。不躾な質問にも答えてくださった店長、本当にありがとうございました・・・!
測定は数秒で完了。筆者の寝姿勢を2Dで表したものがこちら!
下に表示されている数値は、身体の部位ごとの理想の枕・マットレスの高さを表している。
筆者の場合、頭部や首に負担がないように寝るには、枕は頭の高さ1.6センチ、首の高さ3.9センチで十分なのだという。「そんなに低くていいんだ!」と驚くと同時に、今の自分の枕では高すぎるということがわかった。
下の写真のデータは、測定マットに当たっている身体の部位を表したもの。本来はすべての部位に当たっているのが理想だが、グラフでは頭と背中とお尻しかマットに当たっていないことがわかる。測定用のマットよりも柔らかいマットが筆者には適しているのだそうだ。
続いて、どういう枕が合うかを体感するため、ベッドへと移動。測定結果に基づき、できるだけ理想の高さに近いサンプルの枕をご用意いただいた。
マットも身体に合った柔らかいものをご用意いただけた。繰り返すが、寝そうなだけで寝てはいない。
まくらの位置の参考図
仰向けで寝姿勢になると、首の位置が後頭部の位置より高いので、気道が確保されて呼吸がしやすい。取材後、家に帰って自分の枕で同じように寝てみたら、反対に後頭部の位置が高すぎて首に圧迫感があり、呼吸がしづらかった。
店長曰く、仰向けがもっとも理想的な寝姿勢のようだが、筆者は横向きで寝ることが多い。仰向けで寝たときの呼吸のしづらさが、横向きに寝る習慣を無意識に定着化させていた可能性も十分にあり得るようだ。枕の分析から、寝ている習慣まで分析されるとは思いもよらなかった。
スッと何かを分析している・・・。
次は横向きの寝姿勢を計測。
これは衝撃を受けた。明らかに普段より肩への負担が少ないのだ。マイ枕は真ん中が低く、サイドが高く作られているためだと店長。
逆に自分の枕では横向きに寝るには低すぎるようで、肩が押し潰されて痛みが生じ、頻繁に寝返りを打っていた。もはやそれが当たり前のことになっていて、そこまで気に留めていなかったのだが、今の枕が肩こりや睡眠を妨げる原因になっていたことに初めて気付かされた。
店長曰く、睡眠は体の歪みや姿勢を整え、1日の疲れをリセットする時間であることから"夜のヨガ"とも言われており、正しい姿勢で寝ることはとても大切なのだという。睡眠の恩恵を最大限に受けるためにも、寝具の見直しは優先事項として考えておいた方が良さそうだ。
実際に枕を製作する場合は、寝姿勢でスタッフの方が首元に隙間が空いていないかなど確認しながら、パイプと呼ばれる材料の量を加減して高さを調整していく。これにて立派なマイ枕が完成となるとのこと。
劣化しにくく長く使える材料を使用。1つの枕に4種類の材料が入る。
手作業でメンテナンスを行い、最適な睡眠環境のお手伝いをしてくださる。
マイまくらベッドでは、オーダーメイドのマイ枕の他に、プレゼントとして枕を贈りたい方や、メンテナンスの度にお店に直接足を運べない方に向けて既製枕も取り扱っている。
既製枕は自分で高さの調整をする必要があるが、個人的に良い枕をプレゼントされたらとても嬉しい。
ちょっとしたお昼寝でも気持ち良く眠れそうだ。広げて使えば座布団にも。取材班Aは自費で購入していた。
背当てクッションや肘置きとしても使える枕。手を伸ばしやすい価格が嬉しい。
今回の取材を通して、枕と睡眠の質の関係を知り、自分に合った枕を使うことの良さを存分に体感できた。それまで枕へのこだわりがなかった筆者でも、取材が終わる頃にはすっかりマイ枕が欲しくなっていた。定期的な自分へのご褒美として、最優先に購入を検討したい。
【マイまくらベッド イオンモール札幌発寒店】
住所:北海道札幌市西区発寒8条12-1 イオンモール札幌発寒2F
電話番号:011-676-6776
営業時間:9:00~21:00