奥が深い!カプセルトイのディープな世界に潜入してみた
カプセルトイ。世の中では"ガチャガチャ"という俗称がある。小銭を握りしめ、魂と念を込めながらレバーを回し、望んだ景品が出るかどうかは運次第。
この数年、カプセルトイの流行が著しい。テレビやネットニュースなどに取り上げられることも珍しくなく、SNSで話題になる商品も多くなってきた。私も仕事猫の大ファンだ。カプセルマシンを見かけるたびに回していたので、使った金額はちょっと言えないくらいになっている。
本企画aruco(アルコ)を立ち上げるにあたり、我々編集部はイオンモール札幌発寒の館内を探索したところ、夢のようなお店があるではないか。カプセルトイ専門店 #C-Pla(シープラ)である。店内にはカプセルトイしか置いていない。幼いころの私には夢のようなお店だ。
奇しくも世はカプセルトイ第四次ブームなどと言われているが、なぜそんなに流行しているのか実際にお店の方に聞いてみたら良いじゃないか。私たちの知らない世界が広がっているのかもしれない・・・そう思い立ち、我々はお店に取材を申し込んだところ快諾いただき、潜入調査を開始することとなった。
今回、編集部から渡された予算は2,000円。果たして、どんなカプセルトイに巡り会えるのだろうか。
こんなに台数が並んでいるのは夢のよう。常時500種類くらいあるという。
---どんなお客さまが多くいらっしゃるんでしょうか?
店長「老若男女問わず店に足を運ぶ人が多いですね。お孫さんと一緒にいらっしゃる方や、おひとりでいらっしゃる方など、本当に様々です。」
今やカプセルトイは年齢を問わない一大コンテンツと化して、マーケットの裾野を広げつつあることがよくわかる。店内を見渡すと、確かに幅広い世代のお客さまがいらっしゃった。
---ちなみに、一番高いのってどんなものなのでしょうか?
店長「では、ご案内しますね。」
一番高価格なものを紹介していただいた。正直、私は驚きを通り越してしまったが、これはまだカプセルトイのディープな世界の序の口であった。
1回1,500円のカプセルトイ!
1,500円は500円玉2枚と100円玉5枚じゃないと回せないらしい・・・
高価格帯でも売れ行きは好調のようだ。商品は精巧に作られているし、デロリアンのヘッドライトが光るならまぁ・・・いや、よほどのファンでなければ買わないのではないだろうかと思う反面、筋金入りのファンの方々にとってはこの価格帯でディティールにこだわったものが手に入るのならば納得感もある。
ふと近くの台を見渡すと、目を疑うような商品が目に入った。
ファッション業界ではY2Kなどと呼ばれ、2000年頃に流行したファッションがリバイバルしていると聞く。カプセルトイもそういう潮流なのか?と逡巡したのはつかの間、完全にネタ商品だと気付いた。自分の目でどういうものか試してみたいと思い、意を決し300円(1回)に魂を込めてレバーを回してみた。
「出来れば"もっちぃ"がイイ・・・」と念を込める。
オッキーナの折り鶴、獲得
厳密には"オッキーナさんが折ったものを忠実に再現"したもので、全部オッキーナさんのハンドメイドではないらしい。コンセプトは「常識を握り潰せ」と強いメッセージ。丁寧に折った折り鶴を握り潰すという常識外の折り鶴なので、初志貫徹・一気通貫と言ったオッキーナさんの強い意志が現れている。
同封されていた説明用紙には二次元バーコードがついており、製造現場潜入ムービーが見られるようになっている。無断転載はご遠慮くださいと明記されていたため感想は差し控えるが、気になる方はぜひ購入した上で楽しんで欲しい。
一見、雑で容姿端麗とは決して言い難いものであるが、製造工程でこのぐしゃり感を作り上げているってどんな緻密な作業なのだろうか。製造する方々の魂に敬意を表したい。
「売れてるんですよ、これ・・・」と複雑な面持ちで見守る店長。
そのほかの売れ筋を尋ねてみると、いくつかご紹介いただけた。
そして、買ってみた。
POP枚数が多く、気持ちが込められている。電池交換のニーズが高かったのだろうか。
子どもの頃、バスの停止ボタンは確かに押したかった。夢を叶えるカプセルトイ。「押すなよ!押すなよ!」と言われるのはフリであると大人になって学んだものの、世の中には本当に押してはいけないボタンもあるので注意が必要だ。しかし、バスの停止ボタンは1回400円で押し放題の夢を叶えられる。ほかの子に先を越され、グッと堪えるあの感情とはもうさようならだ。そう考えると、高い買い物ではない。
この商品の売上の一部は、高齢者の介護施設の利用料に充てられるらしい。社会貢献性まであるカプセルトイ。
手書き感、リアルすぎる・・・。
私も祖母から手紙をもらったことはある。ただし、カプセルトイ経由ではない。折々の贈り物に添えられるか、直接送られてくるなどの手段であったが、親族でもない「じいじ」「ばあば」からの手紙を1回200円で買えるのは誰得なんだろうか。
フォーチュンばあばからの手紙。中身はぜひ店頭に来てレバーを回して、その眼で確認して欲しい。
占いなのか、ばあばのエピソードトークなのかよくわからない文章だが、後入れの文章がボールペンで書き直せないリアルさがここにある。ちょいちょい、読めない文字もある。誤字なのか字が雑なのかも判別がつかない。
手紙の中には二次元バーコードまであり、ばあばと一緒にARを介して写真撮影まで出来しまう。正直、じわじわくる。1回200円でこんなに笑って写真まで撮れて思い出まで残せる。ポテンシャルがすごいぞカプセルトイ!
ただ、売れ筋はこれまでに紹介したものたちだと伺ったが、率直に「これが売れるの!?」と衝撃が走る内容ばかりであった。
後日、フォーチュンばあばは編集部の取材班Aの座席の背後に佇んでいた。
続いて、オリジナル商品をご紹介いただいた。
それぞれの区での「あるある」が書かれているバッジたち。リンカーン的な売り文句。
取材班の一人が手稲区で育ったらしく、カプセルマシンの前で手稲愛を語っていたところ、2人組の学生さんが興味深そうに眺めていたため、彼女たちに取材協力をお願いしてみた。快諾してくれたため我々の予算を200円ずつ2人に託すことに。
少し悩み「私、江別にします!」と意気込んで回す。人生は決断の連続だ。
挑戦的なメッセージに学生さんは大笑い。「正直、どっちでもいい」らしい。
「じゃ、私は西区で」と覚悟を決めて回す。潔いぞ、頼もしい。
コレジャナイ感が漂うものの「五天山とか超ウケる」と爆笑する学生さん2名
彼女たちは「あー楽しかった」と言って去って行ったが、たかだかカプセルトイ、
されどカプセルトイ。1回200円であんなに楽しめるのなら、体験性も抜群に良いだろう。カプセルトイの本質的な価値はその一言に凝縮されているのかもしれない。
そのほか、今回は紹介しきれなかった景品を含めて並べてみた。
総額2,000円の結果。中央のマスキングテープは唯一の1回100円商品。私は「テイネクミン」よりていぬくんが良かった・・・。
カプセルトイは今や子どもたちだけの世界ではなく、私たちの想像をはるかに超えたディープな世界であった。どんな中身に巡り合うのかも大切だが、回す前の選ぶ楽しみも醍醐味の一つである。正直なところ「誰が買うんだろう・・・」と思うものも無くはないが、楽しめたらそれで良い。あとは回しすぎにご注意を。
【#C-pla イオンモール札幌発寒店】
住所:北海道札幌市西区発寒8条12-1 イオンモール札幌発寒3F
電話番号:011-699-6978
営業時間:9:00~21:00